私が日本法人の事務局長を務める、汚職・腐敗防止のために闘う国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(略称 TI 本部ベルリン)は、本日9月6日に標記のレポートを公表しました。
「OECD外国公務員賄賂防止条約の進捗状況」です(ドイツ時9月6日報道解禁)
日本はわずか2立件、3捜査と、国際標準に比べ件数が少ないのですが、これは日本が比較的清廉ということもありますが、外国での贈収賄に日本の司法が甘いことも理由として指摘されています。
ベルリンの本部の記者発表(日本語)http://www.transparency.org/news/pressrelease/20120906_exporting_corruption_jp
報告書の中の日本部分の要約
緩やかな実施状況、2立件、3捜査。 世界輸出に占める割合は4.1%.
外国贈収賄の立件または捜査;
日本ではこれまでに2件の立件があるが、それは2007年と2009年に終結している。2011年には少なくとも3件の継続中の捜査があったと、OECDワーキング・グループの贈収賄フェーズ3日本レポートで述べられている。これらの捜査の内、2件は日本が相互司法支援を待っているものであるが、日本の企業の海外子会社と現地代理店が関わっていると言われている。同じ会社が関係する他のいくつかのケースは時効の成立により追求されていない。報告書は、さらに警察庁は大きな公共工事契約に関連した海外贈収賄の可能性について捜査を進めていると伝えている。しかし、これもまた時効の成立により、噂されているいくつかの賄賂の支払いは捜査がされていない。あるメディアが2011年11月に報道したところでは、日本の警察はインドネシアの警察と協力して、中古旅客車両の購入契約でのインドネシア運輸省の住友商事の落札についての疑惑を捜査しているという。日本の警察以外では、米国が2011年4月に日揮、2011年9月にブリヂストン、そして2012年1月には丸紅商事を連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)違反で制裁している。
最近の展開;
フェーズ3日本の2011年12月報告でOECD贈収賄ワーキング・グループは、“12年間で2件の海外贈収賄の立件は、日本経済の規模を考慮すると非常に低い”“ワーキング・グループは、日本は海外での贈収賄犯罪に対しての追及を積極的に実施しているように見えないとの深刻な懸念を未だに持ち続けている”と述べている。報告書は、さらに海外贈収賄事件への制裁の有効性についてと、海外贈収賄資金の没収についての法的整備がなされていないことについての深刻な懸念を表明し、必要な法的な体制を確立するために緊急な措置を要請している。報告書は、日本はファシリテーション・ペイメントの使用を禁止するように企業を奨励し、海外の賄賂資金の洗浄を犯罪化しなければならないと述べている。
推奨
事件の情報公開を進め、特に海外贈収賄の立件や捜査の件数を公表すること。2009年に国会で否決された案件である組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制に関する法律(組織犯罪処罰法AOCL)に海外での贈収賄資金の洗浄規定を設けることを法規制の優先事項とすること。効果的で抑制的な制裁を確保すること、なぜならば2件の海外贈収賄事件に課された罰則は国際的な基準から見ると軽微だからである。