中山大臣の思い出
中山成彬国土交通大臣が退任しました。
私は2年前、週刊新潮「わが子は私立もいる、文科省ゆとり教育五人の戦犯」の取材で中山氏にお会いしました。
中山氏は文部科学大臣だった05年、茨城県の中学で行われたスクールミーティングで『ゆとり教育の見直しで教科書の頁数も元に戻りつつある。皆さんには申し訳なく思う」と謝罪しました。これが転換点で、06年からゆとり教育の見直しが始まりました。
ゆとり教育とは、日教組が教師の仕事をラクにするために週休二日制を求め、内需拡大を狙う経済界も同調し、押し切られた文科省が授業時間を減らすために教科書を薄くしていったものです。学校の完全週休二日制が実施されたのは、96年、小杉隆文部大臣のときです。小杉議員は家族の金銭問題で今期限りの引退を表明していますが、歴代ゆとり教育を推し進めた文部官僚らは出世街道を歩んでいます。
そういう経緯があるので、氏が日教組を敵視する気持ちもわかります。ですが、教育崩壊の一番の原因は、日教組の要求を呑んだ文部科学省であり、それを認めた与党・自民党です。
氏はまた「日教組の子どもなんて成績が悪くても先生になる」と言いましたが、教員の裏口採用問題では、小泉元首相の飯島秘書官ら与党関係者らも口利きに関与してきたことを認めています。
「日教組をぶっ壊す」より、与党幹部としては、文部科学官僚を左遷したり、裏口採用に関わった議員を辞職させるべきです。労働組合が待遇改善を求めるのはしかたないこと。使用者側が組合を「ぶっ壊す」ことは違法です。日教組が支持する野党の弱体化を狙ったものでしょう。
中山氏は「官僚は1年ごとに担当が替わっていくから責任者を特定できない」とかばっていました。ご自身が大蔵官僚ゆえでしょう。
でも、最後にこんなことを言っていました。
「私は宮崎の農家出身で、貧しくて、父を早くに亡くし、高校・大学は奨学金をもらって卒業した」
その後大蔵省に入って、同僚だったあの上品な中山恭子拉致担当首相補佐官と結婚し、世界銀行に出向して議員になりましたが、若い頃の苦労話にほろっとしました。
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行政の誤りが明白jになった場合に一般には新聞等で、○○省でこういう決定をしていた、またはXX課でこういうjこrとがあった、という書き方をして当事者の名前は出さない。 それにはそれなりの理由も有るjのだが、常にこの様な扱いで済まし、実際に責任のある官僚の名前を出さない弊害は大変に大きい。
その上、殆どの場合、間違いを犯した官僚はその後出世している。 こういう実態を多く見てきた私は、若林さんが、日本のライターとしては珍しく、当事者の実名を書くことを非常に高く評価している。 それで、今回の記事に対して、私の大変に古い記事をTBで送りました。
今後ますます御活躍されることを期待しています。
投稿: 変人キャズ | 2008年10月 3日 (金) 06時24分