年金が消えるワケ
消えた年金5000万件、さらに1500万件と言われています。
さもありなんです。厚生労働省のデータチェックはずさんです。私は民間企業で働いた後に厚労省の特殊法人に転職して、あまりの仕事ぶりの違いにびっくりしました。
民間企業では、稟議書や伝票を担当者が作った後、自分でチェックしてから課長に提出、課長もチェックします。チェックのしかたは最初に教わります。①印影の照合は2枚の紙を折ってつき合わせる②数字はひとつひとつ照合し、照合した証に鉛筆で小さな点を打つ③最後にたて計と横計の合計をそろばんか電卓で計算しなおす。途中にミスがあれば合計が合わないのでこのときにわかることが多い。
けれども、厚労省の法人では、仕事などせずに遊んでばかり。おしゃべりしながら適当に入力し、本人チェックも求められず、課長もまったくチェックしませんでした。
データ入力用紙に課長と部長の確認印の欄があるのですが、部課長はチェックしないので、空欄のまま相手先に送っていました。相手もそんなことをいちいちとがめません。そうすると、データは合計額が合わないなどめちゃくちゃになります。年に1回会計検査院が検査に来るので、これはまずいです。そこで、毎年会計検査院が来る前の1月ほど、ソフトウェア会社のSEを呼んで、誤ったデータの入力をすべて消し、なかったことにしました。この改ざんの手数料は「ソフトウェアの改修」というウソの名目で経費でおとしました。私が民間で教わったようにきちんとチェックしたところ、いい加減な処理をして懇意の個人などに便宜を図っていた部長と対立してしまいました。
厚労省では、国民から預かる年金などの社会保険料を「自前収入」と呼んでいます。大切なお金を預かっているという意識はなく、「バカな国民からまきあげた自由につかえる金、とにかく使い切ろう」という発想です。職員全員がそう思っているのではありませんが、こういう趣旨の幹部の談話が堂々と議事録にも残っています。これまでは国民もおとなしかったのですが、最近野党やマスコミや国民がうるさくなったので問題が表面化しているのです。
こんな仕事ぶりについては拙著『ホージンノススメ』をご覧ください。また、公務員の仕事ぶりを1年がかりで取材した本が夏に出版になります。
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コメント
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はじめまして。朝生を拝見して以来のファンです。
控えめでいながらシッカリと国の批判をしてくださっていましので、若林亜紀さんのお名前を頭に刻み込みました。検索しこちらを見つけました。お忙しそうですね。あまり更新されていないけれど毎日訪れて確認しています。
私は主婦です。主婦の私でも「えっ」と思えるような国のデタラメ振りをストレートに発言してくださるのでとても分かりやすいです。
国は権力ばかり振り回し、国民をバカ扱いしていますけれど、本当のバカは国だったのですね。本当にやり切れません。
どのようにしたらマトモな国にできるのでしょう?選挙しかないでしょうね?ですが社保庁のようにお役人の方は選挙では変えられませんよね?
本当に先が見えない不安でいっぱいです。特に年金は心配です。
これからも読ませて頂き、勉強をしたいと思います。
投稿: 若林ファン | 2007年6月 7日 (木) 22時05分
ごたくいうまえに、さっさと社保庁取材にいきなされ。
古いネタばかり出して、ものほしげに見えますぞ。あんたがまっとうなヒトだという前提で言わせてもらいます。
投稿: 玉薬爺や | 2007年6月 8日 (金) 00時21分
テレビで毎日、毎日、政府や保険庁がらみのニュースを観ていて、本当に政治不信、官僚不信に陥っています。ずーと、でたらめ放題で国民をだまし続けてきたのですね。そうでなければ今に至ってこんな状態で国民にボロを晒すはずは無いのです。
若林さんが当時目にした、でたらめな事柄がずーと続いてきた証拠ですよね。その当時よりも、もっと度を越す事が続いていたと言う証拠です。
テレビで若林さんの発言を聞いて驚きました。驚く私を見て、息子は言いました「お母さん遅れている。新聞やテレビだけの情報では本物の情報が手に入らない」と言われ、パソコンの手ほどきを受けました。ネットを覗いたら、本当にびっくりでした。いろいろな角度からの情報がたくさん得られるのですね。目がさめました。今後の投票に生かします。
私たちの税金の殆どを、国民のほんの一握りの官僚組織、天下り団体、与党政治家で使われてしまっているのですね。僅かな残りが私たち大勢の国民に当てられている。まるでサルかに合戦さながらですね。赤い実は上部だけで食べて、渋くて青い実だけを下のカニに投げ捨てる。本当にひどい政治だと思います。
あまりにも長く同じ政党が与党として君臨してきたため、官僚との癒着が政治を腐らせてしまったのですね。こんな構図は変えなければいけませんよね。私たち主婦を開眼させてくださった若林さんありがとうございます。私たち主婦仲間は勇気ある貴方様の発言にこれからも期待いたします。私たちこれからも勉強させて頂きます。どうぞよろしくお願いします。
投稿: 若林ファン | 2007年6月11日 (月) 23時06分
>若林ファンさんへ
なんだか変な方向へ誘導しようとしてませんか?
私たち主婦とおっしゃってますが主婦のみんながあなたと同じ考えではありませんよ
主婦って単純でだましやすいな、などと思っているのではありませんか?
投稿: 若林ファンさんにひとこと | 2007年6月13日 (水) 10時58分
わたくしの主婦仲間と言う意味ですよ。
私のお茶のみ主婦友達、約30名位になりますかね。
又の名を井戸端会議仲間と申します。
全主婦という意味ではありません。そうも書いてありません。
投稿: 若林ファン | 2007年6月14日 (木) 16時48分
ファン様いつもありがとうございます。
投稿: 若林亜紀 | 2007年6月14日 (木) 17時09分